“学生史上最強”の評判に違わない帝京大の奮闘だった。トップリーグ(TL)10位のNECに真っ向勝負を挑み、31-25で撃破。2006年の早大以来となる学生によるTL勢からの勝利に、主将のSH流は「きょうの試合を誇りに思う」と胸を張った。
ブレークダウンで攻撃時は確実にボールを保持し、守備時は粘り強く絡み続けた。試合を通じて受けに回ることなく、ノーサイド直前まで厳しいタックルを繰り返した。SO松田が「互角以上に戦えた」と納得の表情を浮かべる堂々たる勝利だった。
NEC対策が実った。
「ナドロを走らせない」。岩出監督が勝利へカギと考えていたのは、今季のTLトライ王封じ。鋭い出足の組織防御で怪物WTBまでほとんどボールを回させず、最大の得点源の無力化に成功した。そして、時間が経過するにつれて焦りを募らせたのはNEC。「接戦に持ち込むほどわれわれのパワーが出る」という岩出監督の狙い通りの展開に持ち込んだ。
“打倒TL”に照準を絞ったプレシーズンからの準備も功を奏した。サントリーなどTL勢との合同練習や練習試合を積み重ねて力量を把握。フッカー坂手は「TLのレベルに慣れていたので最初から迷いなくいけた」と効果を実感する。
15日にはTL3位の東芝と対戦する。ハードルはTL下位から上位へ上がるが、松田は「きょうのプレーを出せればいい試合はできる」と目を輝かせた。(奥山次郎)
「ラグビー日本選手権1回戦、東芝59-12東海大」(8日、瑞穂)
東芝が9トライを奪い、東海大に力の差を見せつけた。ナンバー8のリーチ主将は、母校との一戦に「今年の中で一番体が痛い。タックルも強かった」と後輩に賛辞を送った。
準々決勝では、この日NECと対戦し、大学勢として9大会ぶりにトップリーグ(TL)チームを破った帝京大と対戦する。冨岡ヘッドコーチは「決して過小評価してはいけない」と、警戒心をあらわにした。
15日の準々決勝はそのほか、サントリー-神戸製鋼が対戦。TL覇者のパナソニック、同2位のヤマハ発動機は22日の準決勝から登場する。
「ラグビー日本選手権1回戦、神戸製鋼76-7慶大」(8日、瑞穂)
昨年度大会1回戦で0-100と大敗した神戸製鋼に、慶大が再び完敗した。
前半39分、左ラインアウトからフランカー広川翔也(2年、東福岡)が抜け出して左中間にトライ。完封負けは逃れ、和田監督は「前半を中心にファイトあふれる戦いを見せてくれた学生に感謝したい」と選手をたたえた。
帝京はなぜ勝利できたか?
敗れたNECのプロップ瀧澤直主将の言葉が全てだった。
「NECが負けた。帝京大さんが勝った。そういう試合だったと思います。フィジカル面では我々がやられてしまった部分もある。偉そうですが、トップリーグと同等と言わざるを得ないと思います」
2015年2月8日、東京・秩父宮ラグビー場での日本選手権1回戦。大学選手権6連覇を達成した帝京大が、日本最高峰であるトップリーグのNECを31―25で下した。
学生のトップリーグ勢撃破は2005年度の早大以来9季ぶりの快挙。春先から目標としてきた試合を制しただけに、勝った当事者たちも感激した様子だった。しかし実相は、いわゆる「下克上」には映らなかった。鍛えられたチームがただただ強みを発揮し、相手のキーマンを封じ、計画通りに接戦を制したのだった。
前年度から「打倒トップリーグ」を本格的に目指してきた帝京大は、接点で抗う体力と技術、妥当なプレーを選ぶ判断力、終盤まで走りきるスタミナという個人能力を高めつつ、複層的な攻撃陣形や幅広な守備ラインもインストール。学生相手には大差のゲームを繰り返してきた。
1月25日には、一昨季までトップリーグを2連覇していたサントリーを練習試合で下していた。フィジカル勝負で互角だった。場所は先方の本拠地である東京都府中市のグラウンドで、相手のメンバーは控え主体とはいえ外国人選手も並んでいた。
前年度の日本選手権では、トヨタ自動車に13―38で屈している(2014年2月16日/秩父宮)。「後手を踏んだのはセットプレー、特にスクラム」。岩出雅之監督はこう反省した。プレーの起点で、「(相手の)様子を伺うところ」を悔やんでいた。だから今季は、例年以上にスクラム練習の分量や質にもこだわった。元日本代表プロップの相馬朋和コーチのもと、8人一体のメカニズムを落とし込んできた。
学生王者は、現代ラグビーの王道ともいえる強化方針を貫いてきた。充実していた。試合開始早々、スクラムハーフの流大主将は「行ける、と思いました」。ボール保持者とタックラーの1対1、ブレイクダウン(ボール争奪局面)…。古今東西、ラグビーの勝敗を分けてきた局面で、確かな手応えを掴んだのだ。これがそのまま、勝因の1つとなってゆく。
実はトヨタ自動車戦のセットプレーでの「様子を伺うところ」を、岩出監督はクラブの本質的な短所と捉えていた。だからこそこの日を前に、こう、発破をかけていたのだ。
「ファーストプレーから挑んで、自分たちが行けるという感覚を自分たちから掴みに行こう」
序盤のセットプレーでは失敗や反則を繰り返したが、来季主将のフッカー坂手淳史は苦笑しつつも前向きだった。「ミスした後の自分の行動をどうするか、と、走りました」。試合全体を通しては、「スクラムに関しては、負けている感じはなかった」とのことだ。実際、互角だったか。
前半10分、敵陣ゴール前右での相手ボールラインアウトが乱れると、帝京大はそのチャンスを活かす。じっくり球を回し、最後はスタンドオフの松田力也が「空いているところはここ」と守備網の凹凸を突いた。チーム初得点をトライで挙げ、ゴール成功もありスコアを7-7の同点にした。
複数の談話を要約すれば、帝京大のゲームプランは「相手を敵陣から逃がさない試合運び」と「リザーブ選手も活用し、終盤からテンポアップ」だった。セットプレーと肉弾戦である程度の手応えを掴んだ若者たちは、それを首尾よく遂行できた。
スクラムハーフの流大主将は前半、接点の脇から何度もキックを蹴っていた。相手守備網の背後を突き、陣地を獲得し続けた。
「相手のポジショニングを観ることができた。(守備時のNECのウイングが)前に上がると分析していましたし、そこを上手く突くことができた。常に敵陣でいることは意識していました」
17-17でハーフタイムを迎えた。敵陣の深い位置で球を得た側が、順に点を取っていた。後半も引き続き「エリア」を意識した流主将だが、持ち前の瞬発力を活かすようにもなった。例えば17分頃だ。ハーフ線付近右のブレイクダウンでNECが反則するや、転がる球を持ち出す。速攻を仕掛けた。
「相手の出足、動きを見て、ちょっと変化を加えた。相手が下がっていなかったので、ノット10メーター(反則を犯した側がその地点から10メートル以上下がっていない、という反則)を取れるとも思った。リズムとして、行った方がいいのかな、と」
そのまま帝京大は「相手を敵陣から逃がさない」を実現。20分には22メートル線付近右中間で接点を重ねた。結果、相手の反則を誘った。
「レフェリーはロボットじゃない。笛に対応しないと」。NECのスタンドオフである田村優がこうした内容の言葉を仲間に贈る一方、帝京大のスタンドオフの松田がペナルティーゴールを決める。20-17。終盤に貴重なリードを奪ったのだ。途中出場の元気印、ロックの飯野晃司は笑顔である。
「敵陣(の肉弾戦)でどれだけフォワードが我慢するか、でした。体力面では、たぶん、帝京大の方が上回っていた。相手も味方も疲れている時に一生懸命、走る。それが自分の役割」
その後はシーソーゲームも、35分、流主将の「相手のポジショニング」を踏まえたキックが勝負を決めた。敵陣ゴール前右の密集脇にボールを蹴り出し、ウイング尾崎晟也のトライを導いたのだった。28-20。一気に奪える最高得点が7点(トライと直後のゴールを成功した場合)というラグビーにあって、ノーサイド5分前に8点差。
「もう、勝ったな」
この時点での、司令塔の松田の心の中である。終盤、NECはキーマンが苦々しい顔を浮かべていた。トンガ代表主将のナンバーエイト、ニリ・ラトゥは、自陣でプレーを強いられて終盤はフラストレーションがたまっているようだった。フィジー代表の大型ウイングであるネマニ・ナドロはほぼ不発だった。日本代表の田村はこう述懐した。
「帝京大の勝つ条件が全て揃っていた」
「社会人対学生」というより「いちクラブ対いちクラブ」の接戦を制した格好の帝京大は、15日、秩父宮での2回戦に進む。
今回ぶつかったNECが今季のトップリーグで16チーム中10位だったのに対し、次の刺客の東芝は3位。現体制下では上位4強のプレーオフにすべて出場してきたという強豪だ。南アフリカ代表としても活躍してきたロングキッカーのフランソワ・ステインがセンターに、日本代表主将のリーチ マイケルがナンバーエイトそれぞれ屹立。帝京大が右肩上がりで精度を上げているスクラムでは、最前列にジャパン経験者が揃う。数字上の「マイボールキープ率」では測れぬ押しの強さに関して言えば、国内で1、2を争うとされる。
念願を叶えた翌週、さらに高いステージに挑む…。帝京大としては、精神的にも肉体的にも難しい状況下にある。容易ではない金星を得るには、まずはNEC戦の序盤に呼吸が合わなかったラインアウトの修正が必須か。「ファーストプレーから挑む」もマストとなろう。
「いままでやってきたことをやり抜くだけです。きょうの喜びをエネルギーに変えます。相手を上に見すぎても逆効果になるので、やれるという期待を持って戦いたいと思います」
険しい道を前に、流主将の決意は力強かった。
(文責・向風見也/論スポ、アスリートジャーナル)
帝京大学ラグビー部社会人に勝ったらしいぞ
— しゃけ@ムニエル (@tokitaso114514)2015年2月8日 15:59:53
RT @conpoji211: ラグビー日本選手権。帝京大学が社会人のNEC勝ったんだよ!本当に凄い事!今日は「ノックオン帝京ボ~ル」が何回あったのかな?これが多いと帝京がプレッシャーを掛けているという事。ラグビーは決して難しいスポーツではないですよ♪見るとハマりますよ♪ …
— MJ (@charapoji1)2015年2月8日 14:42:59
帝京大がNECに金星 ラグビー - Y!ニュース (2015年2月8日(日)掲載) http://t.co/S4Jy8xfzNR #ラグビー帝京大学毎回大学選手権そうなめにしてバケモンしかいねーな思ったら社会人ラグビーに勝ったとかww
— ミッチュ@LiSAライブTシャツ企画 (@micchu78)2015年2月8日 14:17:14
今日はラグビーを観に行きました。帝京大学が社会人ラグビー部に勝利しました。大学生チームが社会人チームを負かすのは9年ぶりのようです。すげーな! んで、終わったあと、は三本の矢メンバーで食事。今回も大爆笑の嵐でしたわw
— 菩武左右衛門 (@8974Bob)2015年2月8日 13:08:25